山形大学医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

ごあいさつ

山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室のHPへようこそ

山形大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室は、1976年(昭和51年)に開設されました。初代教授として小池吉郎先生が着任され、学生教育に尽力されるとともに、県内の耳鼻咽喉科診療拡充に注力されました。また「めまい平衡医学」や「顔面神経学」の研究を主導され、数多くの新知見を報告されております。1994年(平成6年)には第2代教授として青柳優先生が就任され、「聴覚医学」、特に聴性定常反応の研究に取り組まれ、多くの研究成果は現在広く普及している新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査を行う上で、重要な知見となっています。2011年(平成23年)には欠畑誠治先生が第3代教授に就任されました。この12年間、私たちは欠畑教授指導の下、当教室で代々培われてきた耳科学、聴覚医学の臨床、研究をさらに発展させるとともに、耳科手術のパラダイムシフトとも呼ぶべき低侵襲な経外耳道的内視鏡下耳科手術(Transcanal Endoscopic Ear Surgery: TEES)の開発、さらには内視鏡と3D外視鏡併用によるHeads-up surgeryの有用性について国内外に発信しててきました。2024年(令和6年)2月より伊藤吏が第4代教授として教室を引き継いでおりますが、内視鏡を用いた接近拡大視による低侵襲手術のコンセプトは耳科領域に留まらず、頭頸部の内視鏡補助下甲状腺手術(VANS)、内視鏡下咽喉頭手術(ELPS)、経口的咽喉頭部分切除術(TOVS)やナビゲーション併用内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)などを行っています。さらには、難聴によるコミュニケーション障害を克服する人工内耳手術や、北海道・東北で唯一の頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線治療など、当科では全ての領域において低侵襲で安全性が高く、機能改善・機能温存を目指した治療に取り組んでおります。

耳鼻咽喉・頭頸部外科のご紹介

耳鼻咽喉・頭頸部外科は、我々が人間らしく生きるために基本となる感覚器(聴覚、嗅覚、味覚、平衡覚)のエキスパートであり、摂食・嚥下のエキスパートでもあります。さらには、家族や友人と会話を楽しんだり、歌をうたったりして生活の質(quality of life: QOL)を向上させるために大切な音声・言語機能も専門としています。

取り扱う領域は耳、鼻、口腔、咽頭(のど)の疾患、声の異常、顔面外傷、頸部の腫瘍など多岐にわたります。また、めまい、顔面神経麻痺、睡眠時無呼吸、唾液腺疾患(耳下腺、顎下腺)なども我々にご相談ください。首から上で脳神経外科や神経内科が担当する脳と脊髄、眼科が担当する眼球を除く頭部および頸部の広範囲にわたる領域を担当しています。

山形県内の患者様はもちろんのこと、全国からご紹介いただく患者様にも最善の医療を提供できるよう、関連医療機関と連携を図りながら診療技術の向上、若手医師の育成を行っています。さらには、従来の治療では根治が困難な疾患を克服するために、多施設共同研究や基礎研究を行っており、特に基礎研究では蝸牛有毛細胞や蝸牛神経障害による感音難聴、中耳真珠腫における再発抑制、重度の顔面神経麻痺などに対する新たな治療法開発のため、研究を進めています。

私たち山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科では、山形で開発したオリジナルな医学・医療技術を世界のスタンダードにし、一人一人の患者さんへの最高水準の医療提供を目指して、切磋琢磨していきます。

山形大学耳鼻咽喉・頭頸部外科講座教授
伊藤 吏(いとう つかさ)