山形大学医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座

研究の概要

耳科・聴覚

  1. 中耳疾患に対する内視鏡下手術法の新規開発
  2. 中耳疾患のMRIによる新しい画像診断法の開発
  3. 中耳粘膜上皮再生に関する基礎研究
  4. 内耳有毛細胞および蝸牛神経の再生に関する基礎研究
  5. 聴性定常反応(ASSR)を用いた小児難聴の他覚的評価

ヒトにとって音を聞き取る「聴覚」は大切な感覚のひとつです。私たちは言葉を聞いて、言葉を話し、コミュニケーションを取っています。「難聴」は会話によるコミュニケーションの障害をもたらし、現代では「難聴」が引き金となる“認知症”が大きな社会問題となっています。山形大学では「難聴」や「中耳炎」に対する基礎研究・臨床研究を積極的に行い、山形から全世界へ最先端の治療を発信していきたいと考えています。

めまい・平衡

  1. めまい疾患に対する検査、診断、治療
  2. 診療科の境界を越えた診療、共同研究

めまい疾患は,様々なめまい症状(ぐるぐる回る,ふらふらする,目の前が真っ暗になるなど)で発症し,様々な原因(内耳障害,脳など中枢障害,全身的な問題、心の問題)があります。めまい外来では詳細な問診、聴覚検査,赤外線CCDカメラを用いた眼振検査,電気眼振図(ENG)、重心動揺計検査、前庭誘発筋電位検査(VEMP)を施行し、必要に応じて CT,MRIなどの画像検査にて診断し,治療を行っています。
また放射線科との「内耳造影MRIによるメニエール病の診断」、産婦人科との「女性ホルモンとめまいの関連」など診療科の境界を越えた共同研究をすすめています。

顔面神経

  1. ウイルス性顔面神経麻痺(Bell麻痺・Hunt症候群)に対するステロイド大量療法を中心とした保存的治療
  2. 新たなサルベージ治療である内視鏡下顔面神経再生術究
  3. 顔面神経の更なる再生を目指した基礎研究

当科では高度麻痺例に対してステロイド大量療法を導入し、良好な治療成績を得ております。当科のステロイド大量療法の有効性を更に広く確かめるため、現在山形県内基幹病院・東北大学・東北医科薬科大学・倉敷中央病院との多施設共同研究も進行中であり、山形大学医学部耳鼻咽喉科を中心に研究が進んでおります。しかしステロイド大量療法でも全例が治癒する訳ではなく、重度の麻痺に対してはサルベージ治療が考慮されます。日本では顔面神経減荷術がサルベージ治療として行われることがありますが、有効性に関する世界的なevidenceが出ていない状況です。一方当科では神経再生を目指した新たな低侵襲手術である、内視鏡下顔面神経再生術を開発し、国内外に報告しています。更に当科では、一層の治癒率改善を目指し、顔面神経再生に有用な因子を探るべく、基礎研究も行っています。また当科では、すでに後遺症を生じてしまった患者様に対しても理学的療法や形成外科との共同アプローチによる治療を行っており、後遺症治療にも力を入れています。

鼻副鼻腔・アレルギー

  1. アレルギー性鼻炎の診断/治療 舌下免疫療法と手術加療
  2. 慢性副鼻腔炎および好酸球性副鼻腔炎の診断/治療 内視鏡下副鼻腔手術と抗体療法
  3. ガマ腫に対する硬化療法 OK-432局所注入による低侵襲治療
  4. 嗅覚障害に対する診断/治療

アレルギー性鼻炎に対しては皮下免疫療法よりも低侵襲に施行できる舌下免疫療法を、また難治性アレルギー性鼻炎への選択的後鼻神経切断術を内視鏡下に低侵襲に行い、患者満足度の高い治療効果を得ています。
副鼻腔炎に対しては、内視鏡下、ナビゲーションシステムによる手術を安全かつ低侵襲に行っています。また、主に気管支喘息の最新の治療である抗体製剤による副鼻腔炎への治療効果の波及の検討を、呼吸器内科を連携し臨床研究として行っています。
ガマ腫は以前は手術加療が第一選択でしたが、当院ではOK-432局注療法にて手術をせずに治療する方法を勧めており、良好な治療成績を収めています。
また、山形県内には当院にしかない基準嗅力検査を用いた嗅覚障害の評価/治療を積極的に行っています。

頭頸部腫瘍

  1. 低侵襲な治療法(TOVS、ELPS、VANS)の確立
  2. 山形県における頭頸悪性腫瘍登録事業の実施
  3. 高用量CDDP併用化学放射療法におけるCDDPの忍容性に対する研究
  4. 電気味覚検査と微量元素採血による頭頸部癌治療による味覚障害の研究
  5. 頭頸部癌に対する化学療法・放射線療法の聴力への影響に関する研究

頭頸部腫瘍グループは唾液腺、甲状腺の良性腫瘍から頭頸部癌全般を治療対象としています。現在、頭頸部癌専門医3名に加えて専攻医3~4名で日々の診療にあたっています。
頭頸部癌の手術では遊離皮弁を用いた再建術を形成外科と合同で行っています。また、最近では低侵襲な手術をモットーに経口的な咽喉頭手術、Transoral Videolaryngosocpic Surgery(TOVS)やEndoscopic Laryngo-Pharyngeal Surgery(ELPS)を積極的に行っており、さらに2019年6月よりVideo-Assisted Neck Surgery(VANS)も導入しました。
頭頸部癌の早期癌から進行癌まで、低侵襲から拡大手術まで、化学放射線治療も含め幅広く対応しています。

喉頭・音声

  1. Voice Handicap Index, Voice-related Quality of Lifeを用いた音声疾患の治療効果の検討
  2. A型ボツリヌス毒素製剤投与による痙攣性発声障害治療

喉頭・音声外来では声帯ポリープ、声帯麻痺などに対する手術治療や薬物治療、音声治療、過緊張性発声障害などの機能性発声障害に対する音声治療を行っています。治療の効果を喉頭ストロボスコピーや聴覚印象、最長持続発声時間の測定とともに、自覚的評価尺度としてVoice Handicap Index, Voice-related Quality of Lifeでの評価を行っています。他覚的評価のみではなく、自覚的評価を合わせて検討し、個々の患者に対する最善の治療を選択し、提供できるように研究を行っています。
近年、痙攣性発声障害に対する治療としてA型ボツリヌス毒素製剤による治療が保険適応となりました。音声治療のみでは改善が難しい痙攣性発声障害に対し、2019年度より当科においても、新たな侵襲性の少ない治療として施行し、その効果についても研究しています。